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タイセイ飼料株式会社

獣医/機能性飼料素材 (7)

––– 消化酵素製剤とその使い所 –––
 消化酵素製剤は文字通り消化酵素を含んだ製剤であり、動物用医薬品のものもあればA飼料のものもあります。必ずしも、動物用医薬品の方がA飼料よりも優れている・よく効く、というわけではなく、自農場の状況や個体の症例に応じて使い分けることが重要です。ただ、動物用医薬品の方は含まれている消化酵素の量(力価)の表示義務があると同時に効果効能を具体的に記載できるため、製品を選ぶ際に具体的な利用シーンが思い浮かびやすいと思います(具体的な消化酵素名は後述)。

 消化酵素製剤の使い所としては、前回のコラムでもご紹介した点を含め以下の3点だと思います。

1. 消化性の悪い飼料を使う時に利用して 消化を少しでも良くする
2. 飼料に常に混ぜることで 飼料品質や牛群の差による生産性の低下(乳量減少や疾病増加 など)を防ぐ
3. 病気の時に治療的に利用する

 1. については、飼料を切り替えた際やそれより前に、飼料分析などによって飼料の具体的な消化性を調べれば、消化酵素製剤を利用した方が良いかどうかを判断する助けになります。特に飼料の消化品質がバラつきやすいのは自家産の粗飼料やサイレージだと思いますが、どうしても品質が良くない粗飼料を使わざるを得ない時、消化酵素製剤によって粗飼料の消化性が改善できます(1)。これによって、不足する栄養源や繊維源を配合飼料や別の粗飼料で補う場合でもその追加量を抑えることができ、結果的に(追加の費用はかかるものの)価格を抑えながら生産性を維持することが可能になります。

 2. は乳牛や繁殖母牛の周産期、または生後子牛や外部導入の育成・素牛を管理する際に有効です。これらのステージは牛がデリケートであり、ちょっとした変化が疾病につながりやすい「ハイリスク期間」になります。牛が調子を崩した時のダメージや回復に要する時間がとても大きいため、とにかく「できるかぎり手厚く管理して体調をベストに維持する」ことが重要です。特に生後間もない子牛は消化器感染症にかかりやすく、ここで下痢になってしまうとその後も発育に大きな悪影響を与えます。疾病を防いで生産性を最大化するために、哺乳子牛には消化酵素製剤を常に添加している農場もあります(※)。

※消化酵素製剤をミルクへ添加する時は、子牛がミルクを飲む直前に混ぜるように注意してください。消化酵素製剤の種類によっては消化酵素の影響により、ミルクがヨーグルト状にドロドロになってしまい、子牛がボトルやバケツからミルクを飲めなくなってしまいます。

 3. は主に飼料の消化不良による消化器疾患の際に利用されているかと思います。食滞や軽度の通過障害の際に、消化されていなかった食渣・食塊を消化酵素で分解することで詰まりを解消したり、新たな未消化物の発生を抑えることで病態の悪化を防ぎます。

獣医/機能性飼料素材 (7)

― 参考資料―
(1) 横山ら, 繊維分解酵素添加による飼料消化率の向上. 平成16年度 福岡県畜産関係試験成績書. 2004.